2020.06.24

金融機関の評価が下がらない⁉資本性劣後ローン

多くの経営者が、新型コロナ特別貸付を利用したのではないでしょうか⁉中小企業の多くは、それほど多くの資金を内部留保できてない為、日本政策金融公庫をはじめ保証協会などを利用し低金利で借入をできました。さて、2020年8月(2020年7月から金融機関で相談が始まります。)から新しい融資の制度が出てきます。それが、資本性劣後ローンという制度です。実は、この制度は東日本大震災の時にも出てきた融資制度です。

■資本性劣後ローンとは・・・⁉

劣後・・・、少しイメージの悪そうな融資制度のように聞こえますが、実は借りる側にとってかなりメリットのある融資制度になります。金融機関から融資をうけたら、自社の財務諸表は当然債務が増えますよね。借入直後は同時に現預金が増えるから、資本勘定も悪くならないです。しかし、売上が回復せず受けた融資を固定費で消費していけば会社は債務超過になります。債務超過になればその後の金融機関からの融資が後ろ向きになります。資本性劣後ローンはこれを解消するための融資制度です。

■資本性劣後ローンのメリット

劣後とは、様々な融資がある中で返済を一番後回しにできる融資制度です。つまり、利息のみを払い続け、5年後・10年後・20年後に一括して返済をする制度です。相当期間融資の返済をしなくていいので、その間に経営や売り上げの改善に力を入れることができます。

そして、資本性という言葉がついていますよね。これは、この融資は財務諸表上債務に計上されますが、金融機関の財務諸表上、資本金と同じ扱いにしてくれるということです。つまり、この融資で借りたお金を設備投資や経営の改善などに使っても会社の資本が悪く(債務超過に)ならないということです。

■資本性劣後ローンを利用した戦略

資本性劣後ローンは、資本勘定を悪くせず5年後・10年後・20年後に一括返済できる融資制度です。最終的には返済をしなければならない融資制度です。現在、資本勘定が悪い会社は今残っている金融機関の借入を資本性劣後ローンで借り換えることによって、金融機関から見た会社の資本勘定を改善する戦略がひとつ。もうひとつが、アフターコロナ後の経営の立て直しや新しい事業などに資金を投入しながら、会社の内部留保を充実させます。そして、返済時期が来たとき、改めて通常の融資制度で借入を巻き直し、そこから借入返済を始めるという戦略があるのではないでしょうか⁉